代表取締役社長 影山順司
会社の歴史・ビジョン
時代とともに事業は変わる
昭和13年、祖父が立ち上げた「影山染工所」という染色工場が三習工業のルーツです。
戦後、着物文化の衰退を考え、鉛の押し出しチューブの生産を開始。
その後、何度かの転機を経て、今はアルミケースの製造業が中心事業になっています。
「マジック」という名称でお馴染みの「マジックインキ」ペンのアルミ軸の部分を作っています。
こうした細いアルミニウムを作っているのは、日本で4社くらい。月間300~400万本くらいを生産しています。
「インパクトプレス」
インパクトプレス加工という言葉をご存知でしょうか?
金属をプレスして1回で成型する方法です。
初期投資もランニングコストも少なくてすむと利点を持っています。
当社はこの方法でアルミケースを製造しています。
チップ状のアルミをプレスして軸型に伸ばすんです。
「他にはできないことをする」
インパクトプレスには、プレス→ねじ切り→洗浄→印刷という4つの工程があります。
普通はプレスから印刷までが一貫ラインなのですが、当社の場合、この4つの工程をいくつかのラインに分けて行うことで、多品種少量生産にも対応できるシステムを整えました。
「他にはできないことをする」。
常にそれを考えていなければ、会社としての成長はない。
しかもそのほうが面白いですからね。
新しいことへのチャレンジ
先程も述べたように「事業は時代の流れに沿って変化していいものだ」と考えています。
私がこの会社を継いでからも新しいことにチャレンジしてきました。
製造に携わっていると、仕事をしている中で、「ここがこうなればなあ」という思いが山のように出てきます。
入社後、前会社での半導体装置の設計を生かし、設備のオートメーション化に取り組みました。
いまや自社の機械はほぼ100%オリジナルです。(プレス装置もだいぶ改造しています)
15年ほど前、工場見学に訪れたある会社に「うちにも作ってくれないか?」と声を掛けられたんです。
ここからエンジニアリング事業がスタート、自動化機械の設計・製造が当社の2本目の柱になりました。
機械部門の売り上げが1億を超えた時は本当にうれしかった。
人との出会いは不思議なものです。
勉強会で出会った方の紹介で大手電機メーカーのリチウムイオン電池開発者と知り合いました。
インパクトプレスは精度が悪いから出来無いとの事ちょっとカチンとしましたが、当社も10数年前トライした経験があることを話して、でももう一回チャレンジしてみようと思うようになって、出来るかもしれないと言いました。
それから2年、最初はラッパのように裂けてしまい形にならなかった物が試作を繰り返すうちに裂けが収まり、波も収まり精度も上がって来ました。
開発技術者にも出来るかもしれない希望が沸き、試験を繰り返す中である特定の条件を満たすと肉厚精度が上がることが分かり現在では0.5mmの肉厚で±0.05以内が実現してきました。
開発資金の捻出は苦労しました。
資本金2000万の会社が2000万を超える開発資金を使っているのですから。
2009年ものつくり中小企業製品開発支援に応募し採択されどうにか大型電池ケースの開発が前に進み出しました。
合計1億円近い金額をこのリチウムイオン電池ケースの開発につぎ込む事になりました。
普段は税金の使い方が無駄と政府を批判していましたが今回は国の補助金で大きな前進が出来ます。
感謝、感謝です。
日本の為にもがんばらないと!
プロフィール
生年月日
S36年7月17日生まれ(東京浅草の浅草寺病院生まれ)向島、両国育ち
社長への経緯
両国小学校、両国中学校、日大習志野高校を経て、日大生産工学部入学。
研究は(電気工学、ロボット制御装置)。
卒業後、某半導体製造装置メーカーに入社。
入社後すぐに、基板の回路から、制御の回路の設計を担当。
新製品の立ち上げなど自分で設計した装置等の腕を買われ、アメリカ拠点のサンノゼへ赴任間近に(入社4年後)、実兄が倒れる。
その時、社長であった父に初めて頭を下げられ、現在の三習工業に入社。
(某半導体製造装置メーカーの社長に事情を説明し、「仕方ないよ、辞められるのは痛いけど、君しかいないんだから、会社(三習工業)に戻りなさい」と言われ、今でもその会社の社長には感謝しているとのこと)
入社後、半導体装置等の設計の経験を生かし、自社の製造ラインの自動化を進める。
2年後に父である社長が急死。29歳で代表取締役就任。現在に至る。
趣味
スキー、(1級の腕前)、スノーボード(最近はもっぱらこちら)、バイク、
旅行(海外、国内共に)、登山(高いところは怖いのでハイキング程度)
夢
高精度インパクトプレス技術を世界に、多用途に広げて行きたい。
農業の自動化(野菜プラントなどを研究中)
ポリシー
「できない理由(言い訳)を考えないで、できる方法を考える」
仕事に対する考え方
「仕事は人生の修行の糧としてやっています。
決してお金儲けをしたくないとか、利益を追求しないという訳ではなく、もちろんそれもするけれども、それ以上にその仕事を通して人間性を高めてもらいたい。
またそう思える会社にしていきたい仕事はこつこつと努力の積み重ね、急がば回れの気持ちでじっくりとこなすことが大切と思う。
勉強会・研究会
井上宗迪実践経済研究会(事務局)、大宮清水園にて月1回開催